リペアして長く長く
いつも行き当たりばったりのgranny探しの旅。
今回もいつも通り計画性はゼロでふらっと足を伸ばしたという程度のチェコ滞在でしたが、
とても素敵な出会いがありました。首都であるプラハの芸術系の大学に留学中の友人と8年ぶりの再会しヴィンテージショップや蚤の市めぐり。
東欧の少しレトロな色使いや素朴な感じ、民族衣装に古本屋さん、雑貨好きにはたまらない世界観に
うつつを抜かし(実は)granny探しにも半分身が入っていなかった不真面目な私をさしおいて
面倒見のいい友人はこの半年間で培ったネットワークを駆使してgranny探しに協力してくれました。
彼女が仲良くなったショップの店員さんを通じ、その方のお店で扱っているプロダクトのデザイナーさんにつないでもらい
さらにそのデザイナーさんおばあちゃんを紹介して頂けることに・・・!

その話の早いこと。
ショップ店員さん 「おばあちゃんね。デザイナーのあの子のおばあちゃんが素敵だって聞いたわ。
ちょっとまって、いま電話してみる!」
デザイナーさん 「いいプロジェクトね!わかった、いまおばあちゃんに聞いてみるわね。」
数分後
おばあちゃん 「明日おうちに来ていいわよ」
デザイナーさん 「だって!彼女が住んでいる場所はメールで送るから!have fun!」
脚色なしの事実がこんな感じ。ものの1時間以内にgrannyのアポイントが取れてしましました。
まさか知り合ってすぐの、友達でも何でもない間柄の、さらには直接会ってすらいない、
そんな異国人におばあちゃんを紹介してくれるデザイナーさんも、疑うことなく簡単におうちに
呼んでくれるおばあちゃんも、親切で感激!というより自らお願いしておきながら不用心なの
ではないか、、ほんとうにいいの??とこちらが心配してしまうくらいスムーズなお話。
それでもチェコではショップ巡りだけで十分かも♪なんてのんきなことを考えていたわたしにとっては
飛び上がるほどうれしいお話だったのでした。
おばあちゃんのおばあちゃん


翌日ご自宅をを訪れると迎えて下さったのはEliskおばあちゃん。
来年で90歳になられるという彼女は一人で暮らしているおうちでいまだにお仕事をされているという
から驚きです。ご一家そろって医療系のお仕事に従事されていおり、現在のお仕事は薬剤コンサルタント。
チェコ国内だけではなく諸外国ともやりとりがあるそうでパソコンや携帯電話も当たり前のごとく
使いこなします。語学も母国語のチェコ語、堪能な英語に加えドイツ語やロシア語と4か国語を習得
されておりコミュニケーションは全く問題なし。ご家族全員分のお名前と生年月日をしっかり把握して
おられ写真を見せながらおひとりおひとりプロフィールを紹介して下さいました。
その後も歴史のこと経済のことチェコの色んなお話をひとしきり伺った後
「それであなたはチェコの何が知りたかったのかしら?」と聞いてくださったおばあちゃん。
ヴィンテージショップなどを回り刺繍やレースが素敵だったことをお話すると何やら隣の部屋から
段ボールを運んできてくださいました。
箱や袋に次から次へと出てくる刺繍ものはすべてEliskさんのおばあちゃんやお母さんの手作り。
小さいものはコースターや棚飾り、大きいものはテーブルクロスなど、パジャマに刺繍を施したものや
ショールのように使えるものなど出てくる出てくる素敵な作品の数々!おばあちゃんがよなよなチクチク
と縫っていたという光景を想像しただけで穏やかな気持ちになります。とても繊細なものもあるので
中には破けてしまったものも。そうしたものもちゃんと修理に出して長く使うんだそう。
大切にしまってあるものだけではなくお部屋をよく見るとソファーやテーブルのところどころに
日常的に飾りや敷物としても使っていらっしゃり生活の中に自然に昔から使っているものが溶け込んで
いるのがいいなあと思いました。おばあちゃんのお話の端々からは新しいものを買っては捨ててとい
サイクルではなく「もっとリユースしようよ」というメッセージを受け取れました。
見せて頂いたもの、伺ったお話ももちろんですが、90歳になっても誰かに頼ることもなく何かを
間に挟むことなく全く違う国の、全く違うジェネレーションとコミュニケーションがスムーズにとれる
ということは本当に尊いこと、私もこんなおばあちゃんになりたいです。
