Granny’s
世界中のグラニーから学ぶあれこれ
Thai

ボーサン村の日傘作り

チェンマイ中心部から車で走ること約20分。

サンカンペンと呼ばれるシルバーやシルク、コットンなどチェンマイの手工芸の工房や

ショールーム(という名のお土産屋さん)が集まる地域の一角に、

日傘作りでよく知られるボーサンという村があります。

傘の名産地であるこの村のモノづくりの歴史は200年にも渡ると言われていて、

毎年1月に行われる「ボーサン傘祭り」というお祭りではカラフルな傘がずらりと並び一際にぎわうようです。

今はローシーズンだというこのタイミングでじっくり日傘グラニーたちにお話を聞くべく村を訪れました。

 

今回はボーサン村の2か所の日傘工房を訪問しました。

どちらの工房も広々とした敷地を持ち、中では様々なセクションに分かれて

老若男女(若~中年女性がメイン)の職人さんがそれぞれの持ち場で黙々と作業を進めていました。

ここの工房で働くグラニーたちのほとんどはご両親も同じく日傘作りに従事していたという

この道一筋のベテラングラニーばかり。

本当に村の人々すべてが伝統を守り、代々その技術を繋げてきた手工芸なのだと実感・・・。

しかし最近では若い方々は大学へ行き様々な選択肢を持ち公務員やサラリーマンを目指すこと

が多く、残念ながらグラニーたちの後に続こうという若い世代はあまりいないようです。

 

それぞれがプロフェッショナル

 

傘に使う紙はタイ語では「サー」(=Sa tree)と呼ばれる桑の木からできており、

割いた木を煮てつぶし、水につけ漉いて作ります。

紙で作るタイプと布で作るタイプ、布の上から紙を貼るタイプなどさまざま種類

があるそうですがどれも日傘のため雨傘としての使用は難しいそう。

レストランなどのインテリアに用いられることも多いようで同じデザインのものが

大量にオーダーされることもしばしばあるとのことです。

 

おおまかな全体の工程としては、

・骨組みを作る

・布/紙を貼る

・天日干しする

・布/紙を織り込む

・内側に飾り糸を施す

・ペイントを施す

という流れで、それぞれに担当がありそれぞれがその工程のプロフェッショナル。

特に内側の飾り糸はとても繊細でその色使い一部をとってもまさに芸術!

傘に施されるペイントは工房内で傘以外のお土産ものにも描いてもらうことができ、

その不思議な立体感と独特のタッチが人気のようです。

これだけたくさんの人の手が加わって時間もかかるのにお土産屋さんで売られている日傘は

小さいものだとなんだか心苦しいほどお手軽な価格で買えてしまいます。

普段日傘とは縁遠い生活をしているわたしですがすっかりそのフォルムに惹かれてしまいました。

わたしの旅行カバンが45リットルのバックパックでなければ・・・無念。

 

工房ができたのは今から約35年前。意外と最近です。

この広い工房ができるまでは職人さんはそれぞれの自宅での作業が主で、

完成した部品を工房に運び、材料をまた自宅へ持ち帰り・・・という往復だったと言います。

工房ができてからはみんなで同じ場所で作業をするようになりそれを一つの楽しみとして働いている

というグラニーもいらっしゃいました。

タイでの定年は60歳ですが、ここでは69歳のグラニーもまだまだ現役で働いています。

サンカンペンの中で訪れた他の手工芸の工房の中でも群を抜いて活気があり、和気あいあいと

した雰囲気の日傘工房。その空間で働き続けることが若さの秘訣かもしれません。

たくさんの選択肢があることが人生を豊かにする。今までそう信じてきた気がします。

一方でその選択肢が時に本当にやりたいことを見つけることや何かを貫くということの妨げにもなると感じることもあります。

「日傘の村に生まれて、当たり前のように日傘の仕事に就く」

今までだったら窮屈な生き方だと感じたかもしれませんが、その積み重ねによって受け継がれてきた

モノづくりを目の当たりにして決められた道を忠実に進むことも一つの美しい選択なのかもしれないと

感じたボーサン村での一日でした。

Todays Granny’s 今日のグラニー

ボーサン村のグラニーズ

作業中のグラニーたちは作業の手を動かしながらも、投げかけた質問一つ一つ丁寧に答えて下さいました。
通訳の方が親切にも積極的に色んなことを聞いてくださったので赤裸々にも気になるお給料のお話まで・・・!
「収入や定年に関わらず体が動くまではここで働き続ける」と語るボーサン村のグラニー。
まだまだずっと元気で素敵な傘を作り続けて欲しいです!